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×アリエナイカノジョ×
第10章 ◆ Scene02
 
 それでも、頼まれた遣いを放棄する訳にもいかない。

 玄関先に置いておくという考えは無かった。

「…うーん…」

 呼ぶ事も置いておく事も出来ずに途方に暮れる。

 通りから僅かな場所で佇む美穂の背後を、たまに通り掛かる人影が怪訝な視線を向けては通り過ぎていく。


…いつまでも…何もしないで此処に居るのも…
…もしかしたら…怪しすぎて通報とかされちゃわないかな………


 数人も通れば、美穂に焦りも出て来る。

 ジョギングでもしているかのような、健康的な小麦色の肌を惜しみなく晒しているタンクトップにショートパンツ姿。

 そんな姿で古びた一軒家の玄関先で延々と立ち尽くしていれば怪しまれるのも頷けた。

「よ、よし…。もう、恥ずかしがってるばあ………」

「……あの…ちょっと…?」

「うひゃあぁっ!」

 意を決して声を出そうとした美穂の背後から、突然掛けられた声。

 美穂は驚きに軽く飛び跳ねたのだった。
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