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×アリエナイカノジョ×
第10章 ◆ Scene02
 
 先程鍵を取り出した影人のポケット。

 頭を掻く腕を動かした拍子に、そのポケットから何かが地面へと落ちた。

「んん?」

 明らかに男子が持つようには思えない、派手な赤い布。

「…えっ?」

 前屈みになった美穂のタンクトップの胸元。

 紗英ほどでは無くとも、それなりに深い胸の谷間が覗けそうになった事に影人はどぎまぎするが、美穂の視線の先を見れば青ざめた。

「…それ…落ちたけど………」

「あっ…いや…これはっ………」

 丸めてあった筈の湿り気を帯びた赤い布。

 小さい生地は向こう側が微かに見える程に透け、長く細い紐が伸びていた。

「あ、アンタ…それ………」

 影人に対して初めて乱暴な呼び方をする程の動揺。

「あ…あの……これ………」

 数歩後退る美穂に、弁解を試みようとする影人だったが、言葉が続かずに動揺するだけだった。

 まるで美穂に見せ付けんばかりに、広げた状態で落ちた赤い布。

 それは、股布や細い紐に体液を染み込ませた紗英のショーツだった。
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