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×アリエナイカノジョ×
第10章 ◆ Scene02
「…ふぅ…」
思わず口から洩れた溜息が、湯気を立ち籠めた浴室に響く。
浴槽の壁に背中を預けて天井を見上げれば、まだ新しい天井材と照明。
「…なんだかなぁ…」
両脚を伸ばし、両腕をそれぞれ淵に載せて湯の中に体を浸しながら思いを巡らせる。
影人から受けた仕打ち。
「正行なら…躊躇わずに腕が出てた筈なのに………」
押し倒されて覆い被され、剰え、胸まで鷲掴みにされた。
正行に対するように、影人にもニッコリと微笑んでから右腕が伸びる筈だった。
しかし、内心では影人の手に胸を包まれた事に鼓動を速くさせて、右腕を伸ばす所ではなかった。
「アタシ…ホントは………」
湯煙の立ち籠める明るい浴室。
透き通ったお湯に浸る、肉付きの良くスラリとした両脚が視界に飛び込む。
こんもりと盛り上がる恥丘では、薄くも濃くも無い黒々とした翳りが揺らめく。
「いやいやいやっ。ま、まさか正行よりもとか無いからっ」
とある可能性を頭を振る程に否定する美穂だった。