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×アリエナイカノジョ×
第11章 ◆ Scene03
 
「まぁ、早速だけど始めようか」

 場を取り仕切りながら移動を始める正行に、他の三人は取り立てて異論も無く後に続く。

 壁際を縦列に進めば、喧騒がイヤでも耳に入る。

「…みんな…凄い張り切ってるよねぇ…」

「……何だか…普通の球技大会の練習とは思えないんだけど…」

 ヒソヒソと会話を繰り返す紗英と美穂。

 クラスメートは疎か、他のクラスや他学年の生徒でさえ、機敏な動きを見せていた。

「葉山さんが見てるぞっ。気合い入れろっ」

 身長的に難しい筈の男子がダンクを決める。

「結城さんはきっと俺を見てるに違いないっ」

 文化部に所属している男子が豪快にスパイクを決める。

「土佐くんはきっとアタシを見詰めてるんだわっ」

 その豪快なスパイクを、鮮やかな回転レシーブで拾う文化部女子。

 体育館に現れた三人の存在は、その場に居た全員の動きを活発にさせていたのだった。


…この流れについていけない……


 この只ならぬ熱気に、影人は更に存在感を薄めようとしていたのだった。
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