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×アリエナイカノジョ×
第11章 ◆ Scene03
 
「あーもぉ…。美穂ちゃんの乱暴者めぇ………」

 文句を言いながら、転がるボールをトテトテと追い掛ける紗英。

 当たった額が未だにヒリヒリしている事から、余程の威力があったのが頷けるように、転がる勢いは衰えない。

「むむ……ボールのくせに………」

 何故か追い付けない。

 コロコロ転がるボールにトテトテと追い掛ける小柄な紗英。

 軽く頬を膨らませ、一向に拾えないことに不満を募らせ始めていた。

 しかし、慣性の法則にも限界はあった。

 床との抵抗が有る以上、その勢いは当然の如く弱まっていく。

「ふっふっふ……どうやら年貢の納め時のようじゃの………」

 何処のお代官様だと言われんばかりのセリフを吐き出して、腕を伸ばした時だった。

 紗英の手から逃げるように、ボールは一階へ通じる階段に落ちていった。

「むきぃっ。ボールのくせに生意気よぉっ」

 ボール相手に本気で怒りを見せ始めた紗英。

 そればかりを視界に入れていただけに、階段だという事が脳内から抜け落ちた。

「待ちなさぁぁぁ……ありゃ?」
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