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×アリエナイカノジョ×
第11章 ◆ Scene03
 
「こらっ、廊下を走るんじゃないぞっ」

「ご、ごめんなさぁいっ」

 体育館を飛び出した紗英。

 教師の注意に謝りながらも、その速度を落とすことは無かった。


…一体…どうして……


 上級生に耳元で囁かれた言葉が脳内を駆け巡る。

「あれ…葉山さん…だよな………」

「すっげぇおっぱい揺れてんだけど」

 走る紗英の姿に、口々に男子が言葉を洩らす。

 しかし、先を急ぐ紗英はその言葉達に反応を見せている余裕は無かった。


…とにかく…ホントにそうなのか…確かめなきゃ………


 視線を集めながらも廊下を走り階段を駆け上がっていく。

 ジャージの中でバインバインと弾む胸の根元が痛み始める。

 汗が滲み、額に前髪が貼り付く。

 それでも、ブルマから伸びた紗英の脚は止まることが無かった。

「はぁっ…はぁっ……」

 ある教室の扉の前で漸く止まる。

 呼吸が整っていないのも厭わずに、紗英は躊躇うことも無く扉を引いたのだった。

「…到着…ってトコかな」
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