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×アリエナイカノジョ×
第12章 ◆ Scene04
 
 困惑の表情を見せるだけの正行に、小首を傾げる美穂。

「だったら早くしなさいよねっ」

 正行程度の腕力で有れば、女子の力など造作もなく振り解ける筈だった。

 それをしない事に、女子の体の柔らかさに鼻の下を伸ばしているとしか思えなくなっていた。

「さ、さっきから離れようと思ってるのに……なかなか…離れ…なくて」

 実は最初から離れようとしていた正行。

 足掻いている物の、抱き付く女子のびくともしない力強さに諦めかけていたのだった。

「正行くんは離れたくないそうよぉ?」

 鼻に掛かった甘ったるい声で、更に胸をグイグイ押し当てる女子。

 美穂を更に挑発する行為に、正行はとうとう実力行使に出たのだった。

「あまり…調子に乗らない方が良いですよ? センパイ」

 本気を出せば、女子を持ち上げてでも引き離すことは出来る。

 力任せに扱うのに抵抗を感じていた正行も、美穂が纏う雰囲気に悠長な事を思ってる場合ではなくなっていた。

「きゃっ!?」

 無理だと言っていた割に、やけにアッサリと女子を引き剥がした正行。

「………やっぱり、抱き付かれたかったんじゃないの?」

 美穂のジト目に顔を直視する事が出来なかった。
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