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×アリエナイカノジョ×
第12章 ◆ Scene04
 
 漸く二人が離れたことに、纏っていた雰囲気を僅かに緩めた美穂。

「あぁん、もぉ………。いくらアタシがMだからって、もう少し優しくしてよぉ」

 膝を立てて尻餅を着いていた女子。

 まるで正行に見せ付けるかのように、膝を立てた両脚の奥から黒いショーツを覗かせていた。

「もう、色仕掛けには乗らないですよ?」

 キリッとした表情を見せながらも、視線はバッチリとそこに向いている正行。

 美穂の握り拳が飛んできたのもあっという間だった。

「ふんっ。そんな暴力女より、アタシの方が良いのになぁ」

 その言葉に、正行の顔の感触が残る拳を片方の手で握る美穂。

「あの結城さんが…ねぇ」

「まさかあんなに………」

 更には周りからの囁きに俯く。

「アンタは正行くんに似付かわしくないわよ」

「あた、アタシは……別に………」

 勝ち誇ったような物言いに、何も言い返せなくなった。

「…いい加減にしてくれませんかねぇ、セ・ン・パ・イ」

 俯く美穂の頭に軽くポンと手が乗せられた。
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