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×アリエナイカノジョ×
第13章 ◆ Scene05
 
「って、おい………」

「ん? …あっ」

 微かに聞こえていた男子たちの話し声が途端に届かなくなった。

 再び視線を下ろしてみれば、既に二人の姿は無かった。

「………で………霧島…………ぽい」

「マジで?」

 ビクッと肩が跳ねる。

 もしかしたら地名かもしれないと思いながらも、名前が出された事に鼓動が速まる。

「………だから………バッチリ………でよぉ」

「…も………えなぁ」

 余り聞きたくないとは思っていても、話している内容が気になって仕方ない。

 時々視線が向けられる気配に、携帯を握る手に力が入る。


…や、やっぱり……紗英の事……かも………


 パスワード付きの動画とは言え、パスワードさえ知っていれば観られる。

 更には他の場所に載せられている可能性もある。

 再び再燃した不安に、紗英は居たたまれずに屋上を後にしたのだった。





「なんかお前…やった?」

「いや、俺はなぁんも………」

「でもやっぱ、霧島さん可愛いよなぁ」

「霧島さん似でバッチリアソコが出てるサイト教えてやったろ?」

「でも、アニメだろぉ?」

「それでガマンしなきゃ、オレらに霧島さんはムリだってぇ」

 思春期真っ盛りの男子たちは、それなりの話題で盛り上がっていただけだった。
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