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×アリエナイカノジョ×
第13章 ◆ Scene05
ゆっさゆさと胸を弾ませ、小走りに駆けていた紗英が漸く脚を止めたのは学校を出て暫くの事だった。
「ふぅ………」
溜め息一つ吐き出して歩き出す。
周りを見回せば、同じく下校途中であろう生徒の姿が疎らに見える。
「………」
立ち止まっている生徒の姿を見付ければ、僅かに鼓動が速まる。
…し、知ってる…訳……ないよ…ね………
そう思いながらも、無意識に顔を伏せるようにして通り過ぎる。
ある程度の距離が空けば、更に溜め息を洩らして鼓動を鎮めようとする。
「………う………」
伏せていた視線を上げれば、再び立ち止まって話し込む生徒たちの姿。
その塊が数箇所もあれば、下校ルートの少なさを恨む紗英だった。
必ずしも自分の事を話しているわけじゃ無いと思いながらも、鮮明に頭に残る動画が不安を滾らせてくる。
通り過ぎざまにチラッと向けてくる視線に、落ち着かせたはずの鼓動がイヤでも速まっていく。
…あぁっ、もおっ!…
…こんなに落ち着かない下校したくなぁいっ………
動画の存在に悩まされながら、紗英は脚を進めるしか無かった。
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