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×アリエナイカノジョ×
第2章 この一コマ
 
 正行の言葉を聞いていた一部の女子が、キャアキャアと色めき立っている。

「影人×正行もアリだわっ」

 何も聞こえない。

「正行くんが総ウケで…」

 何も聞いていない。

「陰の薄い男子に乱暴にされる正行くん…」

 何も聞いちゃいけない。

「…だそうだが、影人…。ここは一つ、彼女たちのようぼ……ぐあっっ!」

 コイツはまだ言うか。

 そのキラッとした笑顔を彼女たちに向けてやれば、たちまち彼女が出来る筈なのに。

 いい加減殴りすぎて拳が痛い。

「まぁ、冗談なのは分かってるだろ?
 ………五分の一くらいはな…」

 殴られても腫れひとつ無いコイツの顔の厚さは何なんだろうか。

「せめて…半分は冗談にしてくれよ…」

 まだ朝だというのに、ボクの疲労感はハンパなかった。


―――――――――
―――――
――

「また、アタシのトコに入れたでしょ?」

「へ? だって、宛名が良く読めなくて…。
 美穂ちゃんはモテるから、そーかなぁって……」

 影人の余りにも汚い文字が原因だった。 
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