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×アリエナイカノジョ×
第3章 ホントの一コマ
 
「うひゃあっ!?」

 思わず声が出た。

「うわぁっ!?」

 紗英の声に、相手も驚いてる。

「だ、誰も居ないと思ってたのにぃ……」

 物寄り掛かっていた物置から体を離すと、その影から人影が出て来た。

「こっちも居るとは………」

 驚いた声を出したのは、髪が長く見掛けた事の無い男子だった。

「ご、ごめんなさい」

 誰だか分からないけど、驚かしたから謝っておく。

「い、いや……。こっちがいきなり声を掛けて驚かせた様なもんだから………」

 ペコペコ頭を下げてくる動作で、この人が良い人っぽく思える。

「じゃあ、お互いさまって事でぇ」

 罪悪感も薄れて、軽く頭を下げて笑顔を向けた。

「う、うん」

 長い前髪から見える顔が、どことなく赤くなっている気がする。

「…熱でもあるの?」

「え、えっと…」

 気になってみると、何故か口籠もっている。

 病人なら保健室に連れて行かないと。

「ホントに…大丈夫?」


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