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×アリエナイカノジョ×
第1章 こんな一コマ
 
…何やってんだ、この娘は………


 隣で項垂れている姿を横目に、思わず溜息が洩れる。

 他の授業ではきちんと起きているのに、この先生が居る時は決まって居眠り。

 視線を前に向ければ、板書している先生の姿。

「別に…普通だと思うんだけどなぁ………」

 思わず声が洩れた。

「………」

 隣からの視線が痛い。


…項垂れていたんじゃ無かったのぉ?…


 分かってはいた。

 分かってるんだよ。

 あの娘が、あの先生の気を惹こうとしているのは見え見え。

 アタシだけじゃなく、クラスの皆も気付いている。

「ほぉら、聞いてるかぁ?」

「あ、はいっ」

 ボーッとしている所を勘付かれた。

 隣からの視線が益々痛い。

 態と呆けていた訳じゃない。

 だから、授業中に視線を突き刺さないで欲しい。

「ほら、そこも横向くなっ」

「はぁいっ」

 注意されて、嬉々として返事するなんてあからさま。

 周りも苦笑を浮かべているのが見えていた。
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