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×アリエナイカノジョ×
第5章 カノジョたちの一コマ
 
「あ、いやなぁ……」

 途端に歯切れが悪くなった。

 チラッと薄井くんを見れば、さっきまでと違って凄い不機嫌な表情をしている。

「影人のヤツ……いつまで経ってもオレの事……」

「だ・ま・れ」

 薄井くんの凄い威圧感。

 名前と違って、存在感タップリ。

 紗英が隣に居るときとは別人のよう。

「クラスの女子もさぁ。オレとの……」

「お口……閉じようか?」

 まだまだ上がる威圧感。

「てか、アンタ………」

 威圧感に巻き込まれたアタシ。

 だけど、正行に白い目を向けずにはいられなかった。

「ん? もしかして、影人にヤキモチでも…」

「ふ・ざ・け・る・なっ」

 思わず腕が伸びた。

 当然腕の先は握り拳。

「グハッ…」

「ナイスです」

 正行が呻くと同時に、薄井くんからお褒めの言葉を戴きました。

 コイツに女の噂が無い原因を思い出した。

 真実かどうかは不明でも、コイツ………。

 一部の女子にはウケる性癖の持ち主だった。
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