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×アリエナイカノジョ×
第5章 カノジョたちの一コマ
 
「コイツにはオレが居るからだいじょう…ぶふぉっ!?」

「アンタには訊いてないから。…で、どうなの?どうなの?」

 正行が居たら話が進まないのは目に見えて分かる。

 薄井くんの意識を自分に向けさせようとするに決まってる。

「あ、いや…あの……」

 途端に顔を赤くさせるなんて分かり易い。

 一度屋上で会った時から、紗英に惚れているのは分かってる。

「それが……まだ………」

「…もう…アレからかなり経つと思うんだけど……」

「手紙…書いてるんだけど…いつも………来なくて………」

「あ………」

 ピーンと来た。

 アタシの頭上で豆電球が点灯した。

 最近ヤケにモテると思ってた。

 一週間に一度くらいのペースで、屋上に呼び出す手紙が下駄箱に入っていた。

 どれもこれも微妙に筆跡は違うものの、汚い字で読みにくいのは共通していた。

「…アレ……薄井くんの……なんだね」

 読む気も失せて中身もスルーしてた。

「…何か…ゴメン………」

「え、えっと………」

 戸惑う薄井くんに対して罪悪感がハンパなかった。


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