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×アリエナイカノジョ×
第6章 ホンネの一コマ
 
 ビクッと体が強張る。

 見ているのがバレたのかと鼓動が速まる。

 それでも葉山さんの顔は俯いた儘だった。

「え、えっと………」

 さっきまでのアニメ声と同じ筈なのに、何処か違和感を覚える。

 何を言えば良いのか分からない。

 結城さんから、少しばかり話は聞いている。

「…お父さん…大好きなんだ………」

 聞いている。

「親として…じゃなくて……ね………」

 それも聞いている。

「…だ、だから、さっき………」

 先生が女性と一緒に居る所を見た。

 不倫をしている可能性が頭を過ぎる。

 やけに鼓動が速まる。

「……一緒に居たの……お母さん………」

 ボソッと呟く葉山さんの言葉に安堵した。

「だ、だったら…何も逃げ出さな………」

「やっぱり、紗英はお母さんには勝てないんだよね」

「それは……」

「お父さんはお母さんが大好きだから結婚したんだし」

「う、うん………」

「紗英は所詮子ども…なんだよね」

 俯いていた顔を向けてきた表情は、とても儚いものに感じた。
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