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パズル
第13章 別離
「瞳は昔から我儘で、末っ子気質でね。大人になってからは我儘なんか言うこともなくなったが、それがなくなると妙に寂しくて。あぁ、そうやって大人になって親離れしていくんだと気付いた。親は子供の我儘に怒ったり辟易したりしながら振り回されるのもまた幸せだったのだと、瞳が成長して初めて思ったよ。瞳の結婚相手が、晶子の夫のような海外で働くビジネスマンだったら、私たちはまた孫の顔も見れないところだった。相手が君だったから、フォローするという大義名分で、出産にも育児にも思う存分関われた。楽しい思いをさせてもらったよ。」
お父さんの声は、穏やかだけど、震えていて。
「そんな…こっちこそ、頼ってばかりで….家族が増えて、楽しかったし、すごく心強かったです。」
「晃一の事なんだけどね…」
「はい。」
「私はね、最初、ウチで引き取ろうかと思ったんだ…」
「え?」
「跡取云々言うつもりはない。ただ、君一人で仕事をしながら乳幼児を育てるというのは無理があると思ったんだ。それに、君はまだ若いし、これから先縁もあるだろう。その時に、子供がいない方が何かと身軽かと思ってね。」
お父さんの声は、穏やかだけど、震えていて。
「そんな…こっちこそ、頼ってばかりで….家族が増えて、楽しかったし、すごく心強かったです。」
「晃一の事なんだけどね…」
「はい。」
「私はね、最初、ウチで引き取ろうかと思ったんだ…」
「え?」
「跡取云々言うつもりはない。ただ、君一人で仕事をしながら乳幼児を育てるというのは無理があると思ったんだ。それに、君はまだ若いし、これから先縁もあるだろう。その時に、子供がいない方が何かと身軽かと思ってね。」