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パズル
第17章 深谷 昌幸の苦悩
ジョッキが運ばれてくる。
無意味に乾杯し、お疲れ、と言い合って生中を煽る。
突き出しの枝豆を食べていたら造りと冷奴が運ばれてきた。
豆皿に醤油を落とし、ワサビを溶かす。ワサビは醤油に溶かさず造りに直接つけて食べるのがマナー、と聞いたこともあるけど、ついついやってしまう習慣だった。
造りをつつきながら、
「相談って何だよ」
と聞いたら、
「うん…」
とやけに歯切れが悪い。
「…実は、さ…結婚、しようかと思ってるんだ…」
「へぇ?おめでとう。で、何を悩んでんの?」
「それが、さぁ。幸村、親への報告って、相手の親御さん、だよな…?」
「そうだよ?普通なら両家の挨拶とか結納とかかもだけど、ウチ報告する親いないし。瞳の両親に挨拶に行った」
「その時…奥さん、妊娠してたんだよな…」
「うん。」
「…どう、だった?」
「どうって?」
「緊張、するだろ?」
「そりゃするよ。前の晩眠れなかったし。」
それも今となってはいい思い出だけど。
「だよなぁ…」
「何、孕ませた?」
ニヤ、と笑って横目で深谷を見ると、
「………」
深谷は目を逸らし、小さく頷く。
無意味に乾杯し、お疲れ、と言い合って生中を煽る。
突き出しの枝豆を食べていたら造りと冷奴が運ばれてきた。
豆皿に醤油を落とし、ワサビを溶かす。ワサビは醤油に溶かさず造りに直接つけて食べるのがマナー、と聞いたこともあるけど、ついついやってしまう習慣だった。
造りをつつきながら、
「相談って何だよ」
と聞いたら、
「うん…」
とやけに歯切れが悪い。
「…実は、さ…結婚、しようかと思ってるんだ…」
「へぇ?おめでとう。で、何を悩んでんの?」
「それが、さぁ。幸村、親への報告って、相手の親御さん、だよな…?」
「そうだよ?普通なら両家の挨拶とか結納とかかもだけど、ウチ報告する親いないし。瞳の両親に挨拶に行った」
「その時…奥さん、妊娠してたんだよな…」
「うん。」
「…どう、だった?」
「どうって?」
「緊張、するだろ?」
「そりゃするよ。前の晩眠れなかったし。」
それも今となってはいい思い出だけど。
「だよなぁ…」
「何、孕ませた?」
ニヤ、と笑って横目で深谷を見ると、
「………」
深谷は目を逸らし、小さく頷く。