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第17章 深谷 昌幸の苦悩

「別に大人なんだからいいじゃん。相手のウチってそんな厳しそうな感じなのか？」

「彼女には…両親は居ないんだ…お父さんもお母さんも亡くなってて…」

「え？じゃ親って自分の親かよ？」

深谷はまたこくりと頷く。

「好きでもない女と寝ちまって子供できたって迫られてるとか、実は誰の子か判らないとか、そゆんでもないんだろ？ちゃんとつきあってんだよなぁ？」

深谷はとんでもない、というようにぶるぶると首を振った。

「そんなんじゃない！ちゃんと、真面目に付き合ってる。付き合う時から、将来的なことも考えてた。…幸村とは状況が違うってわかってるんだ。だけど、いざとなるとさ、ちょっと、どう言っていいのか、踏ん切りがつかなくて…」