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パズル
第17章 深谷 昌幸の苦悩
「ンなもん結婚したい子ができた、でいいんじゃないの?俺らもう26になんだし、親に承諾もらう歳でもないだろ。」
「そ、それはそう、なんだけど、さ…幸村の話聞いたら、ちょっと安心できるかな、って思って…」
「何だよ、下見て安心したいのか?」
ニヤ、と笑いながら来たばかりの唐揚げをパクついた。
「そういうわけじゃ、ないんだけど…」
唐揚げを小皿に取り、几帳面に少しだけレモンを絞る。そういう仕草はいかにも深谷らしかった。
「相手が妊娠してる状況は一緒だけど、俺の場合はまだ学生だったし、しかも瞳の両親とはそれまで会ったこともなくて、はじめましての挨拶がソレだもん。そりゃ緊張しなきゃ嘘だろ。お父さんなんてすっげぇ怖そうな感じでさ、震えたけど、でもしっかり話したら、めちゃくちゃいい人で。そこで初めて現実を知ったわけよ。けど、それもぜーんぶ飲み込んで、フォローしてくれて。瞳が亡くなった時も1回も俺を責めたりしなかった。家族の誰も。今だって甘えっぱなしだよ。本当に感謝してるし、頭が上がらない。」
「そっか…いい人たちなんだな…」