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第4章 現実

「入社の直前、だね。事前研修なんかもあるかもしれないし、社会人として働き出してもすぐにはペースも掴めないだろう。慣れない環境は心身に負担がかかる。そんな中で、君は初産の瞳を支える自信はあるかい？」

「これは、あくまで私の経験だが。出産前後の女性は、とても不安定になる。妊娠中の悪阻も大変だが、出産後はそんな比じゃない。数時間おきの授乳に夜泣きで寝不足が続き、赤ん坊が何を求めて泣いているのかわからなくなりとても不安定になる。そんな時に、そばで支えるのは本当に大変なんだよ。
加えて赤ん坊はすぐに体調を崩す。夜中だろうが祝日だろうがそんなのは関係ない。翌日の早朝から抜けられない大切な仕事があっても、夜中に車を飛ばして救急病院にいく、なんてことは日常茶飯事だ。
出産と育児、というのはね。赤ん坊が可愛い、家族が増えて楽しい、という面だけではない。ということを、経験者として忠告しておく。」

俺は、がっくりと項垂れるしかなかった。