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パズル
第9章 運命の日
「瞳、無理に笑わなくていいよ、苦しいんだろ?」

と聞く俺に、

「違う。順一の顔見たら、安心した。」

と言った。

俺で、いいの、瞳。
こんな、頼りないオトコなのに。
それだけで、泣きそうになった。

ずっと、瞳の横について、手を握った。
瞳はずっとその手を握り返してくれて。
お母さんは優しく瞳の腰をさすって。
お父さんはちょっと手持ち無沙汰だったけど、潤んだ目で、瞳をみていた。

どのくらい、そうしていただろう。
時刻は午後10時をまわり、時折スタッフさんが、瞳の様子を確認しにくる。
陣痛の間隔なんかをチェックしているようだった。

午前0時。
いきなり状況が変わる。

瞳の様子をチェックしに来た助産師さんが、膝掛けをめくり、瞳の足元をみて、

「さぁ、そろそろですよ!」

と、腕まくりした。

瞳は1人、分娩室に入り、俺たち3人はまた、廊下にでる。
睡魔に負けそうになる瞬間もあったが、ブンブン、と頭を振って耐えた。
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