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パズル
第11章 家族
「お前が家族になった記念に作った口座だ。」
残高は、109万円。
「大人になったら渡そうと、少しずつ積み立てて…渡す前に、離れてしまったから…」
「でも、コレは…父さんが積み立てたものだから…」
返そうとすると、父さんはかぶりを振る。
「お前の名義の口座だから、もう私には解約も出来ない。本当はもっと貯めてやれればよかったんだが、それ以上は贈与税の対象になるから、やめておいた。」
その現実的な理由がすごく父さんらしくて、思わず笑ってしまう。
「お前のものだ。子供が生まれたなら、何かと物入りだろう。結婚祝いも、孫の出産祝いもしてやれない…父さんから、最後にお前に渡せるものだ。お前の未来の為に有意義に使ってくれれば、それでいい。」
「本当に、貰っても、いいの?」
父さんが笑って頷く。
「出来たら、その子、抱かせてくれないかな…お前を捨てた身で、祖父と名乗るのもおこがましいが…」
瞳が頷いて、晃一が父さんの腕に渡る。
その、優しい笑顔は、見覚えのあるものだった…
「ありがとうございます。すごく、助かります。」
頭を下げたら、目頭が熱くなって。
ぽたり、と涙がスニーカーに落ちた。
残高は、109万円。
「大人になったら渡そうと、少しずつ積み立てて…渡す前に、離れてしまったから…」
「でも、コレは…父さんが積み立てたものだから…」
返そうとすると、父さんはかぶりを振る。
「お前の名義の口座だから、もう私には解約も出来ない。本当はもっと貯めてやれればよかったんだが、それ以上は贈与税の対象になるから、やめておいた。」
その現実的な理由がすごく父さんらしくて、思わず笑ってしまう。
「お前のものだ。子供が生まれたなら、何かと物入りだろう。結婚祝いも、孫の出産祝いもしてやれない…父さんから、最後にお前に渡せるものだ。お前の未来の為に有意義に使ってくれれば、それでいい。」
「本当に、貰っても、いいの?」
父さんが笑って頷く。
「出来たら、その子、抱かせてくれないかな…お前を捨てた身で、祖父と名乗るのもおこがましいが…」
瞳が頷いて、晃一が父さんの腕に渡る。
その、優しい笑顔は、見覚えのあるものだった…
「ありがとうございます。すごく、助かります。」
頭を下げたら、目頭が熱くなって。
ぽたり、と涙がスニーカーに落ちた。