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第1章 はじまり

ボードでもゲレンデマジックって言うんだろうか。
ゴーグルとマスクと帽子で、ほぼ誰が誰だかわからない状態で、滑ったりマスクずらして喋ったり。意気投合して仲良くなって、食堂で休憩しようってなった時に、装備をとって、お互いの顔を見たらびっくりするくらい可愛いかった。
ただ、そういう、非日常の出会いって、その場で盛り上がっても実生活に戻ったら相手に何のときめきも感じない、ものらしいんだけど、瞳は違ってて、帰って来てから告って、断られても諦めきれなくて。食い下がって、根負けした瞳がオッケーをくれて、俺たちは付き合い始めた。

OLの彼女、なんて周りからかなり冷やかされたが、当の瞳が『学生の遊びに付きあってやっているだけ』みたいな雰囲気じゃなかったから、俺はこのままやっていけるもんなんだと思ってた。結婚願望があるなんて聞いたこともなかったし。
勝手に待ってくれるもんだと思ってた。

でも、そうじゃなかった…