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金木犀
第2章 意中之人
俺と奴は二人仲良く(仲良くなんていいたくはないのだが)教室に向かった。
どうやら、一年生の時の教室と何ら変わりないらしい。
せめて教室くらいは変えて欲しかった。
「同じ教室なんだねー」
と、奴は呑気な声を上げていた。
救われたのは、席は出席番号順のため、奴とは離れていることだった。
まあ、奴はそんなことを気にせず、俺の元に来るのだが。
「初めましてーの人も何人かいるなあ」
「どうせ全員と仲良くなるんだろう?」
「勿論そうに決まってるじゃないか」
にこにこ笑顔で微笑みながら、キョロキョロと教室を見渡す颯太。
その様子を横目で見ていると、珍しく颯太の顔が険しくなった。
「おい、どうした?」
颯太が見ている方向に目線をやる。
そこには二人の女子が仲良く話していた。
そのうちの一人、黒髪のショートヘアーの女には見覚えがあった。
「あいつは確か──」
「なに?翔夜、知ってるの?」
「いや、話したことはないんだが、一年のとき、中途半端な時期に編入してきた奴だろう?確か、美人だってクラスの奴らが騒いでいた──」
「ああ、うん……」
何だ?妙に歯切れが悪い。いつもはハキハキと喋るのに、今日は妙に変な態度を取るな。
俺たちの目線に気づいたのか、その編入生はひらひらと手を振った。
ずいぶんと愛想のいい子だ。
まあ、嫌いではない。
そんなことを考えていると、二人組がこちらに近づいてきた。