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金木犀
第2章 意中之人

この時の俺の落ち込みを表現するのなら、俺にはあまりにも語彙力が足らなすぎるし、そもそも、理解してもらえるかどうかも分からない。だが、俺の気持ちを少しでも理解して欲しいので、敢えて具体的にいうと、お湯を沸かして三分待って、後はお湯を流すだけになった状態のカップ焼きそばの麺を、流し台にぶちまけてしまったので、仕方ないから別の食べ物を買いにいこうと家を出たら、ちょうど買いに行こうと思っていた店へ向かう道の途中を、黒猫が過ぎ去り、何だか不吉だなと思いながらそのまま歩いていると、大型トラック車に轢かれそうになってしまって、ああ、今日は厄日なんだと半ば確信し、それでも腹は空くものだから、もう帰りたい気持ちを堪えながら店に向かってみると、その店は何故か臨時休業だったときくらいの落ち込みようだった。

理解していただけただろうか。
つまり、この世の終わりくらい落ち込んでいるのだ。

しかし、人間という生き物は不思議なもので、ここがどん底だと思っている時は、まだどん底ではないらしい。
実際どん底になったら、余裕もなくなってしまい、そんなことは考えられないらしい。
どん底になったことがない俺にはどうだっていい話なのだが。

それにしたって、このような偶然はあり得ないだろう。幼稚園時代から、ずっと同じクラスで、一回も離れることなく、行動を共にしてきたのだから。そりゃあ、小学生の頃の純粋な俺は喜んでいた。可愛らしいくらいに喜びまくっていた。颯太くんと一緒なんだね!とか、無邪気にはしゃいでいたことだろう。しかし、それが中学生くらいになってくると、あれ、おかしいぞ、と違和感を抱くようになり、高校生になると、いい加減、違うクラスにしてくれと、いもしない神に祈りそうになったほどだ。

もしかしたら奴が何か仕組んでいるのではないのかと思うくらいである。

お前は嫌じゃあないのか、と聞いてみると、必然だか何だかよく分からないことを言い始めたので、こいつに聞いたのが間違いだったと思った。

それにしれも本当に運が悪い。
俺は確実にこいつを一番最初に殺すだろうと思った時期もあったくらいだ。
中学生の時などは、本気で嫌いになっていたしな。
でもまあ、偶然に偶然が重なったのだろう、と思っておくことにしよう。
いろいろ考えを放棄している気がするのだが、取りあえず、そういうことにしておく。




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