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金木犀
第3章 悪因悪果

どうして彼女は俺のことを選んだのだろうか。
幾千人いる男どもの中から見ても、俺はそこまで秀でていることはなく、むしろ普通なくらいだ。
特徴があるとしたら、放課後に図書室へ行き、イライラするとか、ムカムカするとか、いっそ殺してやったら、とか、意味の分からないことを書いているだけの男だと思う(これは決して自分が下した判断ではない。後に紫苑から馬鹿にされ気味にそんなのこと言われたのだ)。

友達も多くはないし、普通だ。
むしろあまり目立ちたくないとも思っている。

普通でいたい。
特徴なんてなくともいい。
モブキャラクターで十分だ。

なのに、それにも関わらず彼女は俺を選んだ。
即答で選んだ。
迷いなく選んだ。
というか、選択肢に入っていたことすら気づけなかったほど早かった。

『一目惚れしました。私と付き合ってくれませんか……?』

それが彼女の告白だった。
顔を真っ赤にして、目を少しだけ潤ませながらの告白だった。

朝、教室に入って自席に座ったと同時に、彼女がすたすたとやってきて(補足しておくが彼女のクラスは隣である)、友達に手を振りながら、鮮やかな手つきで、俺の足下に、小さく折り畳まれた紙を落とした。アイコンタクトで俺に向けた手紙だということは分かった。

颯太の目を盗み(颯太は俺と御影が仲良かったことを知らない)、個室トイレでその紙を読んでみると、『今日も図書室で会いましょう。お話があります』と、わざわざ書かなくってもいい程度のことが書かれていた。

前にも記述したかもしれないのだが、この学校の図書室は信じられないくらい人が少なく、誰も近寄らないようなひっそりとした存在だったため、俺が告白された場面を見ている生徒はごくわずかだっただろう。

今思えば、よく颯太にバレなかったものだと思う。颯太はあんな性格をしているが無駄に勘がいいのでバレても仕方なかったと思う。まあ、人にバレないようにすることぐらい、彼女にしてみればお手の物なのだろうが。



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