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金木犀
第3章 悪因悪果

告白された時の気持ちとしては、驚き半分冗談半分程度で、何かのどっきりではないかと思ったくらいだ。

なんせ、出会ってから一ヶ月くらいしか経っていないのだ。本当にこんな冴えない男のどこがいいのか、後に聞いてみると、理由を教えてくれなかった。なんでも、どれだけ理由を述べたところで言い訳にしかならないからだそうだ。

よくわからないのだが、何となくなら分かった。

残念ながら俺も曲がりなりに一人の男であり、かわいい子に告白されて嫌な気はしない。それに、今まで誰とも付き合ってきたことがない身の上としては、交際するに当たって興味がないとはいえなかった。

そんな好奇心に駆られて、断るに断れず(確かその時はここで断ったら他の相手にされなかった男子が可哀想だからとかいう変ないいわけを考えていたと思う)、結果として付き合ってそれなりにエンジョイしてしまっていたのだ。

このときの自分の行動を、あんなにも後悔したことはない。いっそ過去に戻れたら──なんて、叶いもしない想いを抱いたほどだ。

全く──これだから男は駄目なのだ。
意志があまりにも弱すぎる。可愛らしい女の子に言い寄られたら、少しでも気持ちが揺らいでしまうのだから。

女の人はどうなのだろうか。格好いい男に言い寄られたら、断りきれないのだろうか。
そんなことはないと願いたい。
もし、そうだとしたのなら、世の中は外見だけの世界になってしまう。

まあ、彼女の可愛らしい顔に萌えてしまっていた俺がいうことではないのだが。
可愛いものは嫌いじゃない。

しかし、世の女性たちを敵に回さないために、一応補足しておくのだが、俺は別に外見だけを考慮して彼女の告白を承諾したわけではない。彼女の胸が大きいことや、彼女の肌が雪のように白いということも違う。彼女が外見以上に内面もいいと思ったからだ。

確かに一ヶ月で彼女の性格がすべて把握出来たとはいいがたいが。

とにかく、外見だけで判断したわけではないのだ。

──なんだか、こうやって説明すればするほど苦しくなっていくのは気のせいだろうか。


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