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金木犀
第3章 悪因悪果
小煩い目覚ましの音で目覚めて、ぼんやりした視界の中、何となく携帯を開いてみると、案の定、彼女からメールが来ていた。
『ネコ缶 食べてみたら?』
何の話をしていたのだろうか。全く思い出せなかった。
朝の支度をして、のんびりと学校に向かった。
いつも俺はやたらと早く学校につくよう、目覚ましを設定しているので、人少ない学校にのんびりと入っていく。
普段なら鍵がかかっているはずの教室が、今日に限って開いていた。
さわやかな朝に、イライラポイントが上がっていく。
相手によっては、殺してやりたいところだが、学校なので一応我慢した。
そこにいたのは水無月千里だった。
すこしびっくりしたのだが、まあ、何処かの知らない男子よりかはずっとましなので、イライラポイントが下がった。
「……うす」
「あ……。皐月くん──お、おはよ」
相変わらず内気な奴だ。そう思って、窓側から三列目の、前から三番目の自席に座った。
ちなみに彼女は、廊下側から二列目の、一番後ろの席である。
それにしても、やっぱりそこかで見たことが──
「ぎゅるるるるー」
そこまで考えていたところで、俺の腹の虫が空腹を訴えた。
これはかなり恥ずかしかった。朝食を抜いてきたことが悪かったのだろう。
教室は俺たち以外誰もいないのだから、彼女にも聞こえているに違いない。
横目でちらりと彼女をみてみたら、どうしたらいいのかわからないといった顔で、ぽかんと口を開けている彼女が見えた。
「…………あの!」