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影に抱かれて
第8章 心のままに
「でもね、リュヌに会った途端分かったんだ。リュヌがろくでなしなんかじゃないってことを。ジュール様と何があったかは分からないけど……何か事情があってここに追いやられたんじゃないかって。僕はリュヌの方を信じるよ」
あの、ジュールと離れてここにやって来た時の絶望的な気持ちや、神の教えとジュールへの愛の間で一人苦しんできた日々を思い出し、今度はリュヌの瞳から涙がポロポロと零れ落ちる。
「ドゥルー、ありがとう。でも僕は罪を犯したんだ。僕は……僕は……」
「人は間違いを犯す。だからと言って、その存在そのものが間違いである訳がないんだ。現にリュヌは真剣に贖罪の日々を送って来たじゃないか。僕は誰よりも近くで見ていたんだ。リュヌがろくでなしである筈がない……」
ドゥルーはベッドに上がり、リュヌの頬に手を伸ばす。そっとリュヌに触れるその表情には、愛しさと哀しさが同居していた。
「すぐに僕は後悔したんだよ、リュヌ。あんな人の言うなりになる契約をしてしまったことを……。だって僕は……初めて会った時から君にどうしようもなく惹かれてしまう自分に気付いたから」
「ドゥルー……」
「それに、夫人が僕に命ずることと言ったら……本当に酷いんだ。君がやって来たあとすぐに届いた手紙には……毒薬が入っていた……君に、使えって」