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獣欲の檻
第8章 リナのそれから
いきなり目線が高くなったリナは、男にしがみつくが、すぐに手を離し、不安定な大勢のまま動揺していた。



「捕まっても、そのままでもいい。落としたりはしないから、好きにしろ。」


「でも…重いですから、歩きます。」


「別に重く無い。いいからじっとしてろ。」


「でも…。」


「歩くのはしんどいだろ?男に触られるのは嫌だろうが、車までは我慢しろ。」



ぶっきらぼうな言い方だが、リナには十分優しい対応で、ジャケットを両手で掴んでいたものの、校舎を出る頃には、男に寄り掛かって身を預けていた。


リナにとって、初めて安心出来た場所だった。


これまで優しくされた事が無いリナには、たったこれだけの事が心に響くほど嬉しくて、それが瞬間的に恋に変わるのも必然だった。
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