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獣欲の檻
第8章 リナのそれから
ドアの前には、黒服の男が二人立っていたが、共に助けてくれた男ではない。


期待していた分、リナは気落ちした。



「…何か?」


「いいえ…ご苦労様です。」



そう言ってゆっくりとドアを閉めた。

ベッドに横になり、深く息を吐く。
いくら母親の男に抱かれ続けられた身体でも、代わる代わる男を受け入れ続けたリナは、心も身体も疲れ果てていた。

それでも、男を怖いとは思わないし、心が壊れる事も無い。


いっそう、壊れてしまった方がどんなに良い事かと思う反面、優しく抱き上げてくれた黒服の男の腕が忘れられず、リナは布団を頭から被った。


初めての感情。


恋。
好き。
会いたい。
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