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獣欲の檻
第8章 リナのそれから
でもただ、裏があったにせよ、自分に良くしてくれた十条の事を悪く思われるのは心外でもあった。



「基一さんのお言葉はご尤もでしょうが、十条は仮にも私の養父です。こうして高校にまで通わせていただけただけでも、私にはありがたい事です。」


そう前を向いたまま、リナが言うと、基一はリナの髪を鷲掴みにして自分に寄せた。



「…俺の前で、二度と男を庇うな。」



痛みに顔を引き攣らせたリナは、怒りに顔を引き攣らせる基一を見て、身を震わせた。

安全でもなければ、安心出来る相手でもないと。


愛人を囲うと宣言したくせに、人一倍嫉妬深いこの男の所有物となったリナは、無闇に人も庇えないのだ。
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