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出会い系体験談~秘密の調教日記~
第7章 十九歳、ワタル

 あたしはそんな上司を無視して事務室を出た。
 入社したばかりの頃のあたしだったら、ちょっとしたことでキレて噛みついていた。ねちねち嫌みを言われた時点で確実に。その頃に比べれば、自分も大人になったもんだ。
 聞き流せるようにはなったものの、イラついていないわけではない。突発的に飛び出しそうになる鋭利な言葉を呑み込むたびに、心の中でそれらが埃のように積もっていく気がする。
 ムカムカした気持ちは職場を離れてからもおさまらず、あたしは車に乗り込む前、会社の駐車場の柵を蹴った。近くには誰もいない。あの禿げ頭に見立てた石を思い切りまた蹴りあげる。

「くそ野郎」

 口から飛び出したのも、いつも以上に汚い言葉だ。
 あたしは車に乗り込み、タバコを一本くわえた。今日は本数も多い。もう一箱空(から)になってしまった。握りつぶして助手席の下へと投げ捨てた。
 ーーぶち壊したい。
 最近そんな思いにかられることが増えた気がする。
 何かを無性に破壊したくなる。
 あたしは軽くかぶりを振った。さすがにそれは、ヒトとしてマズイ方面に向かっていってしまいそうだ。
 もうすぐ忙しい時期も終わる。

「セックスするか」

 あと二人分のボーナスが残ったままだ。それなりにスリルがあって楽しめた、いいストレス発散になるのではとも思えた。
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