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第3章 十九歳、イツキ

「どんなことですか？」

　イツキくんは、当然の疑問を口にする。
　あたしは彼にちらりと目配せし、後部座席から大きめの紙袋を取った。ピンクの派手な袋の中には女物の服が一式入っている。あたしの私物と、家を早めに出て買っておいたものだ。

「これにね、着替えてほしいの」

　そう言って、紙袋を差し出した。

「え……、え？」

　イツキくんは、戸惑うように袋の中身とあたしを交互に見た。

「でもこれ、女性用の服じゃ……」
「そう、あたしの服」

　あたしは単刀直入に切り出した。

「ねえ、女装しようよっ。イツキくんのこと、初めて画像で見た時に、絶対女の子の格好してメイクもしたら、可愛いだろうなーって思ったの。見られるのが好きなんでしょ？　女装して、そういうプレイしたらきっと興奮するよ？」
「プレイ……ですか？」