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ドラスティックな恋をして
第11章 潮時・・


新宿などという人がごったがえしている場所を選んだのは、
人が多いから。
ここなら誰か知っている人とすれ違ってもすぐに雑踏の中に紛れることが
できるだろうと思ったから。

そして・・
その日依子の中で初めて大きな柵を乗り越えようという気持ちもあったからだった。

それは、彼と一晩を過ごしてみたいという事。
ここまで一晩を共に過ごした事は無い。
ちゃんと家に帰る。
互いの家に行った事もない。
禁断の恋の掟をきちんと守ってきたが、ここにきてそれをやぶってみたくなった。

自分にとって何が真実なのか、確かめてみたくなったのだ。
昌宏の事を好きだという想いがどこまで通用するのか、なにを生み出せるのか、
知る手段になるのではないかと、心が暴走していた。

「今夜は・・一晩一緒にいたい・・朝まで一緒にいてみたいの」

デパートの最上階にある庭園のベンチで、
そこから見える背の高いホテルに視線を送りながらつぶやくように依子がねだった。

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