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ドラスティックな恋をして
第2章 家族の巣立ち
「けっこうがんばってきたと思うんだ、僕は。
 仕事も頑張ったし、圭輔を無事大学にやることもできたし。
 その圭輔も社会人になって一人立ちした。
 ・・昔みたいにさ、終身雇用が当たり前な時代と違って
 今は明日何が起きるかわかんない世の中だ。
 だったら、思うように生きたほうがいいじゃないか。
 別に絶対死ぬまで田舎で暮らす、なんてそこまで意固地になってるわけじゃない。
 もしも都会の生活に戻りたくなったら戻ってくればいい。
 ただ、やりたいと思った時にやりたい事をやっておかないと、
 できなくなったら後悔すると思うんだ」

最後の言葉まで、しっかりと依子の頭の中に沁みこんだ。

彼の言っていることはおかしくもなんともない。
働いてお給料をもらってきてこの家族を養ってくれたのは悟志だ。
特別な贅沢も趣味もなく、忙しさに体が悲鳴を上げている時でも頑張って働いていた。

その本人が稼いできたお金を、どう使うかは本人にまずは権利がある。でも・・
住み慣れた土地を離れるというのは、
生活の環境をがらりと変えるというのは、なかなか簡単にはできない。

変えたくない・・それが依子の本心だった。

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