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ドラスティックな恋をして
第2章 家族の巣立ち
黙りこくる妻に、夫は続ける。
「相談しなくてごめん・・ちょっと驚かしてやろうかな、なんて。
でも詳しい事はこれから決めるんだから、キミも一緒に考えてくれよ。
ね?どうだろう?」
依子は顔をあげ、にっこりと笑う。
「わかったわ、あなたの好きにすればいいと思う。
でも・・私は行かないわよ」
「えっ?」
「私もそういうの、憧れる・・のんびりと自給自足みたいな生活・・
やってみたいって思う。でも、今はまだここでの暮らしがいいの。
だから・・すぐに行くならあなた一人で行ってね。
たまには遊びに行ってあげるから」
テーブルの上でシワシワとした紙を手で伸ばしてから悟志のほうに押しやった。
「とりあえず私も一緒に見に行くからね。さ、ご飯の支度しなきゃ」
退職を2か月後に控えたある夜のことだった。
その日、夕飯の支度がめんどくさい、と初めて依子は思った。