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ドラスティックな恋をして
第6章 夫という現実


久しぶりに2人分の夕飯を作る。
やっぱり一人分よりは作り甲斐があるなと、
依子は最近作っていないものばかりをこしらえた。

「お、こんなにおかずの種類があるなんて、ここのテーブルに乗り切るかな」

依子の肩越しにフライパンを覗いた後、
皿だビールだと悟志は細々と動き回った。

働いていた頃は、キッチンに一緒に立つことはほとんどなかった。
帰宅した時にはすべてが整っていて、あとは席に着き箸を取るだけだったのだから。

「あなた、ちゃんと自炊してるのね」

「まあね。ご近所さんから野菜貰ったり職場であまりものとか貰ってくるだろ、なんか
 急に料理に目覚めちゃってさ。男の料理本、なんていうの買っちゃったりして」

言われてテレビの脇の棚を見ると、料理本が何冊かあった。
男が作る、というのを前面に押し出したタイトルの本は、
依子に少しばかりの対抗心を植えつけた。
妻がいなくても夫は一人できちんと家事をしている。
私がいなくても平気って、見せつけられている気がして、
安心したような寂しいような複雑な思いが沁み渡っていった。

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