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ドラスティックな恋をして
第6章 夫という現実
「でもまあ、よかったわ。これで私も安心して一人暮らししていられるし」
余裕綽々な態度を見せる妻に、夫は輪をかけて余裕の表情を見せ、
「キミの気が済むまで好きにしていいさ。
こっちへ来たいと思った時に来てくれればいいから」
そう言ってビールのプルタブの音をたてた。
テーブルを挟んで向かい合う夫は、忙しく箸を動かし
久々の妻の手料理に満足げな顔を見せた。
「なんだか・・キミとあんなふうにポンポン言い合うなんて今までなかったから
すごく新鮮に感じるよ」
突然、夫は真顔で妻を見つめた。
「え?そう?別にいつもとおんなじだと思うけど?」
手酌で注いだビールを喉を鳴らしながら飲む。
特に気にも留めていないわと装いながら、じつは心の中で思い当たっていた。
吉本昌宏との間でよみがえった、
女子高生の頃の自分が顔をのぞかせている事を。