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第6章 夫という現実

たしかに楽しかった。

両隣の農家のご夫婦は、みな悟志を家族のように迎え入れてくれた。
どちらもおじいさんおばあさんとその息子夫婦、娘夫婦と子供たちの３世代で大家族。
だからか、一人で暮らしている悟志をとても気づかってくれていた。

私のことも、まるで都会から帰ってきた親戚のような歓迎ぶりで迎えてくれた。

こういうのどかな土地で家族で力を合わせて畑を守りながら
のびのびと暮らしているのを見ると、
都会のせせこましさはやがて心を疲れさせるのだろうなと感じることも事実だ。

でも・・
ここに移り住むのが嫌なんじゃない。
今はまだ、せせこましくても都会の刺激に身を任せていたい。

その想いの後押しをしているのはやはり、あの男の存在があるからじゃないか、と
ゆっくりと目を閉じる。

・・私はいったい・・なにをしようとしているんだろう・・