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第7章 はじまり・・

「ねぇちょっとこれ持ってて」

昌宏の声に我に返り顔をあげると、
目の前にプラスチックのコップに入った生ビールを２つ付きつけられた。

「あ、私、も？」

「そりゃそうでしょ、オレ一人で飲むわけにはいかないでしょ」

ビールを依子に手渡してから、今度は焼きそばとたこ焼きを両手に持ち、
昌宏が空いているテーブルへとそれを置き、依子に座るよう促した。


座ると早速、つかみどころのない柔らかさを手に伝えるビールのコップを宙に掲げた。

「じゃあまず昼の部の乾杯！」

きめ細やかな泡に口をつけた昌宏の、
細めた目はなんとも幸せそうだとクスッと鼻を鳴らす。
この男は本当は無邪気な子供みたいな人なんだ、そう思いながら
依子も泡に口をつけた。
昼下がりに飲むビールがこんなにも美味しく感じられるのは、
場所と相手がいつもと違うからだろうか。