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ドラスティックな恋をして
第7章 はじまり・・
動物園に閉園のアナウンスが流れたのをきっかけに、上野公園を後にした。
昌宏が先導するようにして向かった先はアメ横。
店員の呼び込む声や客達の底抜けに明るい笑い声の渦巻く路地を少しぶらついてから
焼鳥屋に入った。
昌宏は暖簾をくぐるとどうも!と元気よく年配の店員に声をかけていたので、
よく来る店なのかと依子は聞いたが、「ううん、はじめて」とさらりと返してきた。
いかにも常連、のようなその堂々とした態度に思わず吹き出した。
「ほんとにおもしろい人ね、吉本さんて。
おもしろいし、それがまたあなたの魅力なんでしょうね。
うちの主人とは違うタイプだわ」
早々と運ばれてきたビールのジョッキをぶつけ合い乾杯をかわした。
冷えに冷えているビールの美味しさが体中に沁みわたった。
「あのさ、違うタイプっていうけど一人一人みんな違うんだからさ、
オタクのご主人とオレが違っていて当然でしょ?
じゃあ、どういうとこが違うかって、細かに挙げられないでしょう?」