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ある作家の日常
第2章 亜里紗(別居中の人妻、三十才)
 亜里紗の答えを聞きながら武志は、ソファーの近くにある冷蔵庫から冷えた缶ビールを取りだし、ビアグラスに入れテーブルに並べた。


「喉渇いてるだろ?一口飲むと楽だよ?」


「あっ、はい。頂きます。私、変ですか?ん、美味しい。」


 軽く一口のはずが、亜里紗の喉がゴクゴクとグラスの半分を開けていた。
 亜里紗の飲みっぷりを見ながら、武志はテレビとDVDのスイッチを同時に入れた。
 テレビの画面が明るくなり、あるシーンが亜里紗の視線を捉えた。


「えっ、うそっ、あっ、そんな、けど、、、。」


(あたし、変、けど、されたい、、きれい、気持ち、、良さそう、、いけん、、さっきの、感覚が、、)


 テレビの大型の画面には、全身を縄に縛られた若い女性の肌が大写しにされていた。


「嫌いかい?これから亜里紗も同じようにするんだよ。縄化粧をして、もっと淫らしくね。お前が一生忘れられない夜にしてあげる。俺の女として、奴隷としてのね。」


(刺激が強すぎたかな?けど、覚悟を決めて貰うには、良いかな?どこまでついてこれるかな?)


 武志の心の中を知ってか知らずか、亜里紗の女の部分が彼女を責め立てるように疼きが激しさを増した。
 無意識に内腿を擦り合わせるように動かし、亜里紗は自分の淫らさに唇を噛んだ。


「あなたの女、奴隷、嬉しい。あの、DVDの人、アダルトの女優さんなの?」


(バカッ、何聞いてんのん!けど、綺麗、アタシもされたい、、アホッ!けど、されたい、そのために来たん、やから、、)


 亜里紗の質問に武志は答えを一瞬ためらったが、素直に答えることにした。


「いや、その人は、昔の奴隷さ。このビデオは彼女の許可は取ってあるんでね。亜里紗が望むなら別やけど、ビデオには撮らへんよ。」


「ありがとう、、けど、嬉しい、聞いてくれるだけで、幸せ、、」


(あんた、なに、言うてんの?おかしいわよ!しっかりせな、あかんわよ。)


 亜里紗の中に思いもしない欲望が頭を持ち上げ、自分でも何をして欲しいのかわからずに混乱していた。


「どないしたん、亜里紗。後でユックリ考えてな。」


 動画の撮影をしたいと思いながら、亜里紗の気持ちが決まるまで待つつもりだった。
 テレビの電源を切り、ステレオのスイッチを入れジャズを流し、もう一度亜里紗の隣に座り肩に手を回した。
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