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ある作家の日常
第2章 亜里紗(別居中の人妻、三十才)
 男の手が右肩に触れ引き寄せるように動くと、亜里紗の中を期待と不安が混じり合い、小娘のように心臓の鼓動が激しくなるのを押さえられなかった。
 しかし男の唇が目の前に迫ると、瞼(まぶた)を閉じ、男の唇が触れるのを待った。
 武志の唇が、プクッと艶々として張りのある彼女の下唇に軽く触れた。
 男の唇が女の下唇を軽く挟み、舌先が撫でるように女の上唇を優しく舐めると、その舌を求めるように亜里紗の唇が開かれ、彼女の舌が男の舌先に触れた。
 舌先の感触が、亜里紗に車の中でのことを思い出させ、羞恥と同時に女の芯が疼くのを感じ、肌をピンクに染めた。


(いけない、、あたし、、んん、、この人、上手い、、こんなの、初めて、、。)


 さっきまでは初めての経験と羞恥に動揺し、ハッキリとはわからなかったが、少し気分が落ち着いたのか亜里紗は、今までに経験したことのないキスの上手さに、彼女の中に驚きと官能の予感を抱かせた。


(ふふ、少し変わったかな?そや、まだシャブラセてなかったな。どれ、どんなフェラチオするんかな、楽しみやな。フフ。)


 唇をユックリと名残を惜しむように唇を放し、武志は悪魔の言葉を放った。


「亜里紗、奴隷の務め(つとめ)を果たしてくれるかな?駐車場では忘れてたみたいやからね。意味は分かるな。」


(さて、どう出るかな?とぼけはせんと思うけどな。フフ。)


 亜里紗の瞳を見つめながら武志が言うと、一瞬躊躇ったように動きが止まり、


(奴隷の勤めって!さっき、オシャブリって、そんな、旦那でもないのに!あっ、わたし、この人の、そう言うことやわね。私は、、奴隷、、。)


 彼女の心の揺れが、彼には手に取るように分かったが、彼女自信に決断させることにした。


「あの、奴隷の務めって、あなたのをフェラするってことですね?」


 すがるような、救いを求めるような表情が浮かんだが、突き放すような武志の言葉が、彼女の決断を即した。
 覚悟を決めたように目を瞑り、下唇を噛んだ。


(どうしよう、この人のオシャブリなんて、けど、あんな恥ずかしいの、奴隷、なりたかったんやないん?けどまだ、エッチもしてないし、けど、エッチより恥ずかしかったし。)


 目蓋が開かれ彼女の唇が動き、


「武志さん、奴隷のお務めをさせて下さい。」


 女の唇から必死の心がこぼれた。
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