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ある作家の日常
第2章 亜里紗(別居中の人妻、三十才)
 武志の答えが望んでいた通りに近かったので、驚きと自身の迷いを悔やみながら、


「えっ、泊めて下さるんですか?嬉しい、寝てる間に縛られても構いませんから、嬉しい。」


 亜里紗の喜ぶのを見ながらドアを閉め、


「それなら、亜里紗。奥に行こうか、少し、サッパリしないか?」


 汗を流すつもりで誘ったが、


「はい、私も汗を流したいです。サッパリしてから、眠りたいから。あっ、ごめんなさい、泊めて貰うだけでも、申し訳ないのに、、。」


 意外な彼女の言葉に、


(んっ?一緒にシャワー浴びたいってことか?まあ、好きにして貰うかな?)


「あぁ、それなら一緒に風呂に入ってサッパリするかい?ふふっ。」


 軽く引っ掛けるつもりで聞いたが、亜里紗からは意外な答えが返り、武志を驚かせた。


「はい、一緒に、あっ、でも、一緒に入らせて下さい。」


「じゃあ、行こうか、亜里紗。でも、襲うかも知れんぞ?ふふふっ。」


 半分冗談のつもりで言いながら、奥の部屋へのドアを開け、亜里紗を手招きした。


「ハイッ、襲われても後悔はしません。期待してるかも、いけない、ごめんなさい、なにを、私は、、、。」


(いけん、小娘みたいに、、それに、、さっき、断ったのに、、けど、、、私、、誘ったの、、、私、、、)


 亜里紗の中に迷いと、最後の一線を踏み越えられなかった自分に対する後悔とが渦巻いていた。
 同時に淡い期待が彼女を彼の部屋に残らせ、泊まることを決心させていた。


「うん、襲われたいんや。ふふ、オモロイな。エエよ、亜里紗がかんまんのならね(かまわないのならね)。ちょっと調子に乗りすぎかな?」


 言いながら、彼女の腰と膝に手を回し抱き上げた。


「えっ、このまま?あの?」


 驚きと嬉しさの混ざった表情で、亜里紗は武志の胸に顔を埋めた。
 亜里紗の反応に武志は愛おしさを感じ、ユックリと脱衣室へ運んだ。
 脱衣室の床に彼女を降ろし、後ろから抱き締めた。


「ふふ、柔らかいな亜里紗の身体は。おっと、いけんな。このまま、襲いそうや。ふふふっ。」


(あかんやろなぁ。けど、ひょっとして、まさかなぁ。けど、なんもなしではなぁ。まあ、彼女次第やな。)


 武志は亜里紗との次への繋がりのために、楔を彼女の中に打ち込もうとしていた。
 たとえ結果が予想と違っていても。
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