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・辿りつく 先には・
第13章 『心底』
いつもこんな、聖であればいいのにとそう思った時にスパークリングが運ばれた。

シャンパン ゴールドの色合いをした泡は、はかなく消えて行く。けれどライトに美しくそれは映えた。


『乾杯~』

声が重なる。一口、含むタイミングも一緒だった、それに笑う二人。

「美味しい~色々、歩いたし疲れたでしょう。」

「疲れたのは、絢音のほうやろ。何回も逝かされて。」

小声なのに、それだけは耳に響いた。その言葉だけで、赤くなるなど自分の体が自分のものでないような気持ちがした。
「また、そんな事を言って…からかわれてばかりね。」

「事実やから、しゃあない。水分も沢山、取らないとやな。また、今の言葉だけで女の顔になってるやん、欲しがり。」

益々、顔が赤らむ。手が熱くなりそうでスパークリングをさりげなく、口に含んだ。

喉の冷たさが、気持ちを和らげる。聖はその喉元を見つめていた。柔らかい、白い首筋は昨日の感触を思い出させる。

どうしても、目の前にいて花の香を放つ女を意識しない訳が無かった。

絢音の方が、通路側に背を向けている 。それにほくそ笑みを浮かべた、魔王の顔がちらつく。

夜景を見ながら、今日の通り道を辿り色々なものを思い出しては楽しげに笑う絢音。心で何をしようと、楽しみを考えていた魔王…

お料理も少しずつならび、話しも尽きない。色々な話題を話してもすべてが、さらさらと帰ってくる事に関心した。

こんなにも感性が似ていて、会話が楽しめる事は中々無かった。気持ちがとても楽でリラックスできた。

するりと手が伸びて 、指先に触れる。それに驚いて、手を引こうとするが逆に掴まれた。

「お料理が取れないわ聖、離して。」

「なら、僕が口に入れたる。」

「もう、そんなのはいや。子供じゃないのだし。」

ぐっと腕を引かれて、唇は食べられた。驚いたが、どうにもならない。

ゆっくり唇が離れる、余韻が残されていた。目をゆっくり開けた。夜景も目に入ってくる。
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