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・辿りつく 先には・
第15章 『帰路』
「一緒に死ぬのじゃなくて、一緒に生きる事を考えて。聖、私が貴方の心を支え生きるわ。必ず、裏切らないから。だから生きて聖。」

「でも、絢音は帰るし僕もまたあの淋しい部屋に一人や。」

「電話もする、手紙も書くから。一人になんかしないわ。煩いって言うくらいにしてあげる。」

「僕の奴隷やからね。他の奴に触らせたらあかん。」

「大丈夫よ、そんなことないから。」

また胸に顔を埋めた。腕の中に閉じ込め、誰にも触らせたくなかった。気持ちに母性が沸く。

鬱病の辛さは本当に良く分かった。気持ちの浮き沈みや不安に弱い。

「でも、帰るのは淋しいわ。」

愛しげに抱きしめると、抱きしめ返してくれた。

切なさを消したくて、唇を合わせた二人。

優しいキスをくれるのは、今の聖の気持ちなのだろうか。

二日の激情の夜は明け、三日の日々はすぐに終わってしまった気持ちがしてならない。

楽しかった時間の方が、過ぎるのは早い。キスの雨は降り、抱きしめた腕は嵐を呼ぶ。

激しい魔王の、激情が絢音の魂を溶かし深い深い海の底に沈む二人。高い高い、空にも駆け上がり気持ちが混ざり合う。
何度でも抱かれ、抱かれる度に愛は生まれた。聖の絶対支配に安堵しながら包まれる中に、明日からの孤独を打ち消したかった絢音だった。
溶け合う朝は続く。限りない愛の中で…
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