この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
・辿りつく 先には・
第15章 『帰路』
新横浜の駅には、人々が行きかっていた。空港や新幹線の場所は好きだった。

行きかう人の、出会いと別れの中にはどんなドラマがあるのだろう…

今日は自分もその中の一人だった。

新幹線が来るのが悲しかった。また一人になると思うのは、同じ気持ちだったから。握った手を離す事は出来ない。

こんな時こそ、話さないとと思うのに言葉が出ない。見兼ねた聖の方が珍しく、先に言葉をかけた。
「今度は絢音が、こっちにおいで。守山は何もないけど、琵琶湖は綺麗やし自然はある。」

それに笑顔を作り、答えなければと思った。

「そうね、琵琶湖見たことないし。日本一、大きい湖よね。」

「そうや、綺麗だよ。波まである。ふと、海のようだと思う時も。たまに休みの時は見に行くよ。」

「それはいいわね。私も実家にいた時は、良く近くを散歩したの。緑が沢山ある所だったから。」

「緑はいいやね。癒される。」

ポンっと案内がなった。時期に聖を連れ帰る、新幹線が入るだろう。

「そんな顔、せんでも大丈夫や。笑顔で見送って」

溢れそうになる、涙を止められそうになかった。目を抑える。

立ち上がり、新幹線を待って聖を見上げた。かなりの身長差にキスはいつもかがんでくれていた。

ホームでもお構いなしなんだろうなと、身構えた。

「聖…ダメ…みんなが見ちゃう」

「見たい奴には、見せてやればええ。」

ぐっと腰を寄せられ、深い深い口付けは唇を絡め取った。

熱い舌が絡まり、これが最後ではないと言葉が無くても綴っていた。

キスだけで逝かされてしまう。

ゆっくりと離れた。
「今のキスを忘れない内に、守山においで。今度は僕が案内してあげる。」

もう頷くしか出来なかった。一度、抱きしめられて離れたのを引き寄せたいのを我慢した。手は握られたままだ。新幹線がホームに入る。

ドアが開いて、手が離された。

「必ず、逢いに行くから。」

叫びに近い、声だった。胸が苦しくなる。

「待ってるよ、愛してる絢音。」

「私も、私も愛してる」

プシュードアがしまった。ゆっくりと新幹線が動く方へと歩き出した。手を振る聖の姿が見えなくなるまで、目で追った。

悲しみが心をうめて痛い。でも、別れではなかった。

また出会う為の今の別れ。胸を抑え、気持ちを整える。
/164ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ