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・辿りつく 先には・
第17章 『距離』
新幹線に乗るのは久しぶりでも無かった。けれど西に向かうのは何十年ぶりかだ。

二十代の時に京都の旅行をした以来だったから、多分15年ぶりくらいだろう。

あげたい絵画を描いた物を、持って行くか悩んだがやはり本人と自分を書いたものだったので渡す事にした。

一度、あったとはいえ緊張は常にするものだった。期待感と不安の入り混じった感情に右往左往しないよう、努力するので大変だったからだ。

行く前にはお友達になったヒデにも、その話はしていて何かあればすぐにメールをとは言われていた。

趣味趣向、性癖と言えど聖は拘束系。本人が言うには首輪や手錠、縄もだと話していた。

まさかの事はないにしろ、少しばかり不安は残っていたからだ。

時折、凄い普通では考えられないような話は聞いたりしていた。心が病んでいるからだろう、そう思っていたがぞわりとする怖さが聖にはあった。

支配の力故なのかは判断が難しい所だ。
考え事をしていたら老夫婦に話かけられ、絵画を包んでこなかったのでその話題から色々な話をしてもらえ道中はあっという間に過ぎ去った。

教えて貰った道のりで、ローカルな電車にも乗り小さな駅に着く。・守山・の文字を目にして、本当に着てしまったんだなと思った。

色々な想いが錯誤しそうになるのを、今は追いやり必要なものを買い出そうと近くを散策する事にした。

駅回りを渡り歩くと、お店の人のやんわりとした関西弁を耳にすると違う土地に来たんだなと凄く思う。大阪とは違いゆったりとした関西弁だった。

北国の出もあったので、やはり関西弁には馴染みがなかったから新鮮だった。

夜までには三時間くらいあったので、買い出しをした後は何処か喫茶店に入り手紙を書こうと思った。

カフェなど小洒落た店はなく、本当に喫茶店と名前に相応しい物が何件か目に入ったからだった。

聖に逢う事は、自分の中にある女を彷彿とさせた。随分と長い間、女を休んでいたのだろうなとそう思った。

今はただ聖に甘え、ゆったりと肩の力を抜こうそう思った。毎日、緊張感のある生き方しか出来なかった。いつ何を言われるかと、身構え生活するのは疲れる。
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